活動レポート

9月度例会(講演会&懇親会)平成29年9月11日

[開催場所]

2017年9月11日(月)一般社団法人横浜銀行協会(横浜市中区本町)で9月度例会が開催されました。

 

 

写真1 横浜銀行協会建物外観 

 

 

 

 

[講師] 株式会社タス 新事業開発部長 藤井和之様

[講演テーマ] 神奈川県の賃貸住宅市場の現況と今後の動向

 

 

 

 

[講演概要]

賃貸住宅のストック

平成25年の総務省住宅・土地統計調査からは、既に神奈川県(のみならず東京圏全域)の賃貸住宅は、慢性的な供給過剰状態であることを読み取ることができる。

 需要と供給のバランスが崩れ始めている?

現状の供給はリーマンショック前よりも少なく、バブルといえるほどの水準ではないが、東京圏ではリーマン前の供給量に近づきつつある。リーマンショック前の大量供給に加えて、人口が減少に転ずるというこれまでになかった社会的な変化が需給バランスを崩している。東京圏は世帯数の増加が継続しているが、それを上回る量の貸家が着工されている。建替えの場合はストック数に大きな影響はないが、相続税対策の場合は従前に賃貸住宅ではなかったところに新たに賃貸住宅を建築するため、ストック数は純増となる。

相続税改正後の金融機関の貸出額増加の影響により空室率TVIが上昇している。マンション系は埼玉県と千葉県、アパート系は東京23区、神奈川県、千葉県が反応している。

供給物件が偏っている? 

単身者が1995年頃から急増しているのに対応して、供給が単身者向け間取りにシフトしている。単身者向けの間取りは供給過剰状態になっており、空室率TVIは高い水準で推移しており、賃料は低水準で推移している。相続税改正マイナス金利導入による影響で、再び単身者向け間取りの供給が増加傾向にある、結果として空室率も悪化傾向にある。特に神奈川県では、アパート系の20㎡未満の極小1Rが大量供給されており、これが空室率を急速に悪化させている可能性がある。

そもそも賃貸経営を考えていない?

アパート系は人口が減少している地域や、最寄駅からの距離が10分超の、賃貸住宅として適さない立地に建築されている物件が多い。一方でマンション系は人口密集地域で、最寄駅からの距離が10分未満の好立地に建設されている物件が多い。つまり、アパート系は土地ありき、マンション系は立地ありきで供給されている傾向がある。ここ10年、マンション系の供給は単身者向けに偏っている。東京23区の外周部や横浜市、川崎市の中心部では、単身向けの間取りで、新築のアパートと築古のマンションでパイの奪い合いが激化しており、結果として立地の良いマンション系がテナントを獲得しており、アパート系の空室率を悪化させている。

都心回帰で進む二極化

バブル崩壊後の長期的な不動産価格の下落、賃料の下落により、通勤利便性通学利便性の良い立地への人口移動が継続している。特に共働きの若年夫婦にこの動きが顕著である。若年単独世帯の移動には大学の都心回帰が大きく影響を与えている。郊外部には大量の高齢単独世帯が居住していることが考えられるため、今後20年~25年の間に大量の空き家が発生することが確実である。

 縮小する住宅市場

世帯数の減少は、住宅市場の縮小である。東京都、神奈川県は2025から市場が縮小に転ずる。神奈川県の単独世帯数は、2030から減少に転ずる。神奈川県の夫婦と子から成る世帯数は、既に減少している。神奈川県の夫婦のみの世帯は、2025から減少に転ずる。神奈川県の上記の3家族形態の2035年の世帯数は、2015年よりも2となる

 少子高齢化と晩婚化未婚化

単独世帯数の高齢化と30歳~49歳の未婚化が進行している。これら未婚の賃貸住宅単独世帯は将来の高齢者単独世帯候補である。2015年時点で60歳超の単独世帯が神奈川県では48万戸(東京圏では200万戸)居住しており、今後25年以内にこれらが空き家になる。うち14万戸(東京圏では60.5万戸)が賃貸住宅である。賃貸住宅単独世帯のうち、今後25年で高齢者になる可能性がある40~59歳の世帯は2015年時点で神奈川県で22万戸(東京圏では97万戸)である 。今後の賃貸住宅管理・運営は、高齢者対策を避けて通れない。少子化に伴う、若年単独世帯の減少は、郊外部から進行中で、大学都心移転の影響も大きい

今後の賃貸経営のポイント

テナント付けができている優良物件であっても、契約更新をするのは40%程度で、平均募集期間は3~4か月である。また、テナントが入れ替わるたびに賃料の下落が顕在化するため収入が減少する。2025年以降は、首都圏でも世帯数が減少するため、条件は一層厳しくなる。したがって今後は、いかにテナントに長期間居住してもらうかが、賃貸経営のポイントとなる。

テナントに長期間住んでもらうためのヒント(私見)

(1)バリアフリー、孤独死対策、ペット同居可等の高齢者対策を行ったうえで、高齢者を積極的に受け入れる。

(2)DIY賃貸やスケルトン&インフィル等、テナントに投資をさせてかつ満足度を上げることにより長期間居住を実現する。

情報交換会

今回は、㈱コム管理サービスの亀山様より、事業内容の紹介や、会社PR等を会員各社に向けてご紹介いただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

懇親会

講演会終了後、懇親会が開催されました。

まず神奈川県不動産のれん会の小泉信一会長よりご挨拶がありました。

そして齋藤一郎次期副会長の乾杯の音頭で、懇親会がスタートしました。

タスの藤井様にも懇親会にご参加いただきました。

以上